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参加し、長距離音波伝搬の基礎データを得ることができました。現在は、得られた様々なデータを解析し、長距離音波伝搬における問題点に関する研究を実施中です。
(3)10,000m級無人探査機「かいこう」の音響機器の研究開発
無人探査機「かいこう」による海底面や海底下の観測のために、超深海用の新しいタイプのサイドスキャンソーナーやサブボトムプロファイラを開発しました。特にサブボトムプロファイラは、鋭いビームと小型軽量化が望まれたため、新たにパラメトリック音源を開発し、これを実用化しました。また、サイドスキャンソーナーのために指向特性の優れた送受波器を開発しました。その結果、世界で初めて、超深海用のソーナーシステムを完成させることができ、10,000mでの試験にも成功し、良好なデータを得ることができました。さらに、「がいこう」のビークルやランチャーの雑音源となる油圧ポンプの雑音低減の検討等を行いました。その結果、世界最深部のマリアナ海溝域においても極めて精度の高い音響測位を行うことが可能となっています。
(4)「なつしま」の音響航法システムの改修
「なつしま」の音響測位システムやコンピュータシステムは、製作されてすでに10年以上(1991年当時)が経過し、故障が目立つようになり、特にコンピュータシステム等において、予備品すら入手困難な事態になってきました。このため、1993年に「なつしま」の音響測位システムやコンピュータシステムの改修工事を実施し、併せ

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写真−1 符水時の「がいこう」

て、音響測深装置による海底地形の自動作画装置や、水中画像伝送システムも装備しました。そして、多くのワークステーションやパーソナルコンピュータをLANシステムで結合し、分散処理を行うことにより、安全かつ円滑に「しんかい2000」の運用が行えるようになりました。
4.4 無人潜水機関連
(1)10,000級無人探査機「かいこう」の開発
「しんかい6500」による6,500m深度までの深海底の研究結果から、今までまさしく暗黒の世界であった深海にも光が射し始め、その様相が明らかになってきたわけですが、また、同時にこれらの成果は我々にさらに深い海底も調査する必要性を知らしめました。そこで、これらの要求を受け、1991年より地球の最深部まで調査が可能な深海無人探査機の開発に取り組みました。この10,000m級無人探査機は「かいこう」(写真−1)と命名され、最大深度における性能試験として、1995年3月、マリアナ海溝、チャレンジャー海淵へのアプローチに成功しました。
(2)深海用小型TV観測機の開発
深海に設けた発射台(ランチャー)から発進し、海底付近の様子などを詳細に観察することを目的として、深海用小型TV観測機の開発を行っています。本機は、水深6,500m級の小型無人潜水機です。その用途として、有人潜水船に搭載したランチャーから発進し、潜水船が侵入できないような狭窄した場所を詳細に観測すること、海底観測ステーションから発進しその周辺の観測を行うこと、また深海掘削船においてドリルパイプ先端部に降ろしたランチャーより発進して海底付近の状況観測を行うことなどが挙げられます。六機の外観を写真−2に示します。

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写真−2 深海用小型TV観測機の外観

 

 

 

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